YO茶の足跡残す日記

日々感謝の気持ちで、思う事をいろいろ書いていきます。

尖閣諸島は、サンフランシスコ講和条約でどのように位置づけられているのか(長文)(図を追加しました)

※最初に申し上げますが、今回はかなーりの長文です。時々火がついたようにこういったシリーズを書いてしまいます。^^;
なお、文中差し込んでいる地図は、PCで見た方がわかりやすいと思います。スマホではきついかも。。その点、ご了承ください。それでは興味があれば、ご一読くださいませ。。


9月26日のことです。某ワイドショーでコメンテーターの方が、


「サンフランシスコ講和会議で尖閣は日本の領土に含まれていないから国際法という表現はしない方がよい」


と、全国ネットのワイドショーで公然と嘘のコメントをしたという話を聞きました。


ぬわにぃーーっ、けしからん!(怒)



しかし待てよ?そもそも私、サンフランシスコ講和条約自体を読んだことないなぁ。読んでもいないのに、感情でけしからんと言っているのはフェアじゃないな。



と言う事で、本当にサンフランシスコ講和条約に「尖閣は日本の領土に含まれてない」とされているのか、確認することにしました。



まずはサンフランシスコ講和条約の原文。これは、外務省のHPで検索できます。この条約の正式名称は、「日本国との平和条約」といいます。(こちらから、「日本国との平和条約」で検索してください。)


英語文と、その日本語訳文が併記されています。しかし、この日本語訳を読んでみるとわかるのですが、訳文が非常にわかりにくい。最初の前文など、「〜するので、〜するので、〜するので、〜協定した。」と、「〜するので」で文を3回もつないでます。小論文のテストでこんな書き方してたら、間違いなく減点ですな。子供にもこういう書き方はしちゃだめという典型的な文章なんですけど。。。。


まあ、それは置いておいて、日本国の領土に関する条項は「第二章 領域」として記載されています。第二章の中には第二条〜第四条まであり、それぞれ、以下の内容です。

第二条 領土権の放棄
第三条 信託統治
第四条 財産

具体的に、日本の領土がどの部分にあたるかを考えるにあたり、重要になってくるのは第二条と第三条で、特に第二条です。第二条には、具体的に、どの地域や島を放棄するのかが記載されています。第三条は、日本が所有している島や地域について、連合国側が「信託統治」することに同意するというものです。なので、基本第三条に書かれている地域は現在日本の領土だと言えます。第四条は、要するに第二条と第三条で放棄、もしくは信託統治となった地域や島の財産の管理などは連合国側に持って行かれるけど同意します、ということが定められています。


つくづく、仮に戦争するならば、絶対に負けてはいけない、と思いましたね。。


さて、では第二条に書いてある、日本が放棄した地域とはどこなのでしょうか。第二条だけ、そのまま抜粋しますね。全部で6項目あります。


### ここから ###

(a)
 日本国は、朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

(b)
 日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

(c)
 日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

(d)
 日本国は、国際連盟委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下に あつた太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす千九百四十七年四月二日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。

(e)
 日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。

(f)
 日本国は、新南諸島及び西沙諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


### ここまで ###



ふーむ。。それぞれ、どの辺にあるのか、パッと見ただけではわからないですね。。。一個ずつみていくか。



まず(a)。これはわかりますね。朝鮮半島(今の韓国と北朝鮮)、それから済州島、巨文島、欝陵島このあたりはわかります。



赤線で囲ったところが放棄した地域です。緑は日本の領土です。(以降線の色は同じ意味になります)当然ながら、竹島は含まれていません。サンフランシスコ講和条約が締結され、実際に施行される間を狙って、一方的に韓国が奪い取ったのです。その後、現在に至るまで不法占拠を続けているということはご承知の通りです。


次に(b)です。台湾と、その西にある澎湖諸島を放棄しています。

こうやって見ると、台湾ってそこそこでっかい島なんですね。


次に(c)です。領土問題として、昔から知られている北方領土ですね。


千島列島、南樺太サンフランシスコ講和条約で放棄を宣言しています。しかし、


「この条約で一端放棄を連合国側に宣言している。しかしソ連講和条約の締結を拒否し、一方的に占領している状態にあることから、千島列島、南樺太の帰属は未決着だ。」


というのが外務省の見解です。しかし、ソ連と正式に交わされた条約でいえば、ポーツマス条約であり、それ以降不当に占拠しているわけですから、私は千島列島と南樺太はまだ日本の領土だと思います。


さて、この条文でいうところの「千島列島」とは、いわゆる北方四島を含まないと明確に言えるのでしょうか。色丹島歯舞群島は、根室半島の延長とみることができ、明らかに千島列島とは違います。今日はこの件がメインではないので、別の機会にまた書いてみたいと思います。


次は(d)です。日本は、国際連盟委任統治の権利を得ている島々がありました。南の島々なのですが、あまりに範囲が広いので、島そのものが確認できる縮尺ではおさまりきれませんでした。



逆に、日本がどれだけ広範囲の地域を統括しなければならなかったのかがこの地図でわかりますね。本当に戦線を拡大しすぎたんだなぁ、と思います。


続いて(e)です。な、南極???


日本は、かの有名な白瀬南極探検隊が1912年に南極へ上陸、ルーズベルト島南方のロス棚氷上を「大和雪原」と名付け、日本領として宣言しておりますが、正直これは明確な範囲が不明であることもあり、この宣言を取り消します、ということだったのかなと思います。



最後に(f)です。これは今、ベトナムと中国間で領有権争いが勃発している「南沙諸島西沙諸島」です。ここも日本がおさえていたんですね。




いやー、日本は本当に広い地域を戦争で獲得し、そして敗戦によって放棄したのだということがよくわかります。ん?あれ?尖閣諸島については、全く出て来ないぞ?つまり、日本が放棄した領土という意味で明確には何も書いてありませんでした。


次に、第三条を見てみましょう。これは、連合国側が特定の地域を信託統治するという条項です。つまり、そこに住む人たちは、連合国の統治下に入ることを認めた条文です。


### ここから ###


第三条【信託統治

 日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)、孀婦(そふ)岩の南の南方諸島(小笠原群島、西ノ島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。


### ここまで ###


さて、これらはどの地域なのでしょうか。まず、南方諸島から行きましょう。これは、現在は東京都にあたる島々です。これまた島がはっきりとわかる縮尺では収まりきらないので、かなーり大きな地図で確認します。




うぉ、広い!!現在、これらの地域は日本の領土です。南鳥島沖ノ鳥島は、この地図にはおさまりませんでした。それくらい、この2つの島は遠いのです。逆に言うと、この2つの島が広大な領海、EEZを支えているのです。ちなみに、伊豆諸島の一番南のほうに「孀婦岩」という岩が海の中から突き出ているみたいで、この岩を目安にして南方と書いているのは面白いですね。一度見に行ってみたいな。



さあ、続いては南西諸島です。これは、北緯29度より南となっています。調べてみると、トカラ列島の一番南にあたる2つの島から北緯29度より南にあたるようでした。まあ、実質は奄美群島から南を指すためにこう書いたのだろうと思います。ここから南の「南西諸島」というのはどこにあたるのか?


括弧で、琉球諸島及び大東諸島を含むとあります。なので、間違いなくこの2つの諸島は含まれます。図にまとめると、こういう感じでした。



図には書いてませんが、「琉球諸島」というのは、通常沖縄諸島先島諸島を指すようです。(場合によっては奄美群島大東諸島も含むことがある)なお、奄美群島は1953年に日本復帰し、その他琉球諸島大東諸島が日本に返還されたのは実に1972年のことでした。(沖縄返還協定はこちら



改めて衝撃を受けました。私が生まれた年には、まだ沖縄は返還されていなかったのですね。。


まとめますと、サンフランシスコ講和条約で日本が放棄した地域、信託統治された地域をまとめたらざっくりこんな感じになりました。




ふーー。。ここまで私が調べた限りでは、尖閣諸島に関して言うとこうなりました。


サンフランシスコ講和条約の中で尖閣諸島は「琉球諸島に含まれる地域」として、連合国信託統治をされる地域となった。
・この講和条約時点で、日本国は尖閣諸島を「日本の領土である」と認識しているから信託統治の条文に含めた。
・1972年沖縄返還協定で返還された地域の範囲は「明らかに」尖閣諸島の位置を意識した範囲を指している。(日本地図で確認済み)


この緯度経度の地域範囲を見ると、明らかに尖閣諸島が意識された範囲になっています。国土地理院の地図システムを使って位置を確認しつつ直線で囲ってみました。





うん、見事に尖閣諸島を意識した緯度経度が指定されていますね。




以上から、尖閣が日本の領土に含まれていないなんてことは「虚言」にすぎないということが裏付けられました。まあ、ここまでやらなくてもわかっていたことですけどね。


しかし、自分で実際に地図を開いて、どのあたりにどういう離島が存在するのかを勉強し、認識する良い機会になりました。そして、あらためて日本というのは「広い国なんだ」と思いました。特に領海です。これだけ広い海域が領海であったりEEZであったりするわけですから、海を警備するのはほんとうに大変なことだと感じました。そういった予算を削減?ご冗談でしょう。ただでさえ領土を脅かされているわけですから、予算を削減するだなんて、私たちはやはり平和ボケに浸っていたと反省するしかありません。

今回の図を見て、やはりきちんとした知識をもたなければいけないですね。もっともっと勉強し、いろんな人の意見を聞き、そして考えねば。


いやー、日本国憲法改正案を考える以来位の長いネタになってしまいました。きっと、途中で脱落した人結構いるだろうなぁ。


最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。



さて、私は今から一仕事です。やばい、お尻に火がついてきた(泣)



日々感謝 m(_ _)m